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授業間の休み時間、俺と総司は一君の机に集まり次の授業の英語の訳を写していた。そんな俺等の横で一君は俺等を無視して読書に励んでいる。
「あ、めくんなよ!まだ俺写してんだからさー!!」
「遅いよ平助君。これくらい直ぐに写しなよ。」
「これくらい自分でやってこい。」
本を読みながら総司に突っ込む一君は流石だ。そんな一君の言葉を完全無視する総司も、流石だ。
「将来英語使う予定なんてないし、勉強するだけ時間の無駄だと思わない?」
「お前が時間をどう使おうが俺は興味ない。」
「斎藤君は冷たいなぁ。」
「ヨシ!総司次次。」
総司と一君が話している間に残っていた英文の訳を写し終え俺はノートをめくった。
「平助、お前そんな汚い字で読めるのか?」
「一君ってさり気失礼だよね。読めるに決まってるじゃんか。」
「綺麗に書く習慣を付けないからテストで痛い目を見るんだろ。」
「平助君のテストなんてどうだっていいよ。」
「確かにな。」
「うっわ~・・・友達甲斐のない奴等~。」
非難の目を二人に向けると不意にポケットに入れていた携帯が震え、俺は取り出し画面を見た。
「メール?」
「うん。」
総司の言葉に頷き送信者を確かめ、俺は口許を緩めた。それを見ていた二人は呆れたような視線を向けてくる。
「千鶴か。」
「平助君、その締りのない顔どうにかしてよ。キモイ。」
「フッフッフ、今の俺は何を言われても怒らない!!あ~俺って大人!」
「今は、だろ。」
「つーかウザイ。」
二人のなんとも失礼な暴言を無視して俺はメールを開くとそこには簡潔な文字が並んでいた。
『数学の教科書とノートを今直ぐ持ってきて。』
「数学?」
「何て書いてあったの?」
「ん?数学の教科書とノート持ってこいって。今直ぐ。」
言いながら俺は立ち上がり自分の席に向うと机の中から数学の教科書とノートを取り出した。
「ちょっくら五組行って来る。」
二人にそう言って俺は教室を出た。
「・・・完璧に使われてるな。」
「この間千鶴ちゃんが言ってたんだけどさ。」
「なんだ?」
「平助君と付き合ったのは楽できるからだって。」
「・・・・・・。」
二人がそんな会話をしているなんて勿論知らない俺は五組へと急ぐ。そう、五組に居る愛しの彼女、千鶴のもとに!!五組の教室の前に着くと俺はドアを開け窓際の席に座りながら友人と話している千鶴に手を振った。
「千鶴!!」
呼ぶと千鶴は俺に気付き席を立ち歩いて来る。
「平助君。」
「ほら、これ。教科書とノート。」
言いながら千鶴に持ってきた数学の教科書とノートを差し出す。すると千鶴は薄く微笑みを浮かべて受け取った。
「ありがとう平助君。」
可愛い、可愛過ぎるぜその笑顔!!小さく拳を握ると千鶴はノートをペラペラとめくる。
「教科書忘れちゃって、ついでに宿題もやってくるの忘れちゃったんだよね。」
「宿題?」
「うん。平助君やってるよね?」
「ああ、一応。」
「良かった。私、今日当たるんだよね。」
「・・・・。」
俺は一気に青褪める。何故青褪めるのか?それは千鶴の次の台詞で分るだろ。
「答え、間違ってたら別れるから。」
end
本当はお題で続ける予定だった平千学パロ
鬼嫁もとい、鬼彼女の千鶴とそんな千鶴に翻弄される平助の図
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